2022.01.09 赤ちゃんネズミの泣き声と人間の発話

昨年5月にアマゾンから発行した自著、『英語耳は中年からでも進歩する!』のp60でシラブルの征服が音声英語の鍵」と述べ、p84で「意識と呼吸の関係について」述べました。

 これに深く関係する最新の研究成果が昨日(1/8)アメリカ公共放送(NPR)から一般ニュースとして流れました。それをかいつまんで以下に説明します。記事の見出しは「What crying baby mice could teach us about human speech(ネズミの赤ちゃんの泣き声が人間の発話について語ること)とあります。以下、要約して参考に供したいと思います。

 

 生まれたばかりのネズミの赤ちゃんも泣くらしいです。その泣き声は呼吸にシンクロナイズしていて呼吸に合わせて上がったり下がったりリズムカルなもののようです。泣き声を出すのは母ネズミと離れた時で、泣き声が母ネズミには子ネズミからのSOS信号と映るようです。

 子ネズミが泣き声を出すのはそれができる生得的な能力があるからで、脳幹に泣き細胞のネットワークがあるからです。それが呼吸とシンクロナイズするというのですから、泣きの細胞ネットワークと呼吸の細胞ネットワークとに重なる部分があるはずだと仮定し、実際に実験してみると、仮定通り一ヶ所に共通部分があったそうです。そこで重なる部分を切り取ってみると息は普通にしていますが、泣き声はしないか、してもリズムがなかったようでした。

 ネズミの脳と人間の脳はもちろん違います。しかし人間の赤ちゃんが泣くのもネズミの場合と同じ原理に基づいているようです。さらにネズミが泣く時のいろいろな器官の動きを細かく分析してみると、そのなかに人間の発話と共通する部分があり、それが呼吸に関係していることがわかりました。

 つまり泣きのリズムと同じように、人間の発話にもリズムがありました。一呼吸している間にいくつのシラブルをリズミカルに言えるか、これが発話の基本原理のようです。このシラブル音を統合して単語音とし、それらを統合して意味を取る。その全過程を行うためにはそれができるだけの脳細胞を後天的に徐々に発達させなければならないとあります。これは聞く側の理解リズムにも言えます。つまり発話と受話はシンクロナイズしており、発話原理は理解原理でもあるからです。

 このニュースを今日見聞きして、あらためて私は思いました。「何だ、オレが今までやってきたことではないか」まさにこの脳細胞ネットワークの段階的開発こそ私がやってきことだったと、これがこの最新の研究で裏付けられて大変嬉しくなりました。

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