2023年3月21日、私が主役の「絵と音楽のマリアージュ=美の境地」春分の日コンサートを開きました。きわめてユニークな展覧会でありコンサートでした。
私が今までに描いた油絵をホール壁面に一杯飾り、一作品ずつ私が解説するなりそれに因んだ曲をヴァイオリニストの黒田小百合さんとピアニストの霜浦陽子さんが奏でて下さるという趣向でした。
当日、私の挨拶は次のように始まりました。
「皆様、こんにちは。今日は春分の日です。今年一年の最強運日で、「何ごとを始めるにしてももっともいい日」だそうです。そんな日に光栄にも皆様に証人となって頂いて私の人生ソナタの最終楽章を奏で始めたいと思います。私は明日3月22日で87歳の誕生日を迎えます。振り返りますと、第1楽章は学生時代、第2楽章は社会人(組織人)時代、第3楽章は趣味人(自由人)時代でした。今日からはそれらをすべて超越して歓喜と余韻に溢れた第九的フィナーレを奏でて行きたいと念じています。
一つだけ例にとってみましょう。
- ドビュッシー: 月の光
ショパンの流れを汲むドビュッシーですが、印象派というより象徴派と言われることが多いようです。ドビュッシーは伝統的な様式を越えた、自由な音の響きを重視し、感覚的な印象を表現する革新性で知られています。この図は上から「月の光」「喜びの島」「水の反映」「アラベスク」などをあしらいました。月光で銀色に輝く波間にシレーヌの神秘な歌声が聞こえ、笑い過ぎていきます。ドビュッシーを魅了した大海原とそのリズム、うねり、表情、千変万化する色調を描こうと思いました。解説が終ると「月の光」が奏でられました。