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Music

2023.07.04 Gala Concert

今年初の夏日、外は暑いが西宮芸術文化センター小ホールはひんやりとして気持ちがいい。 今日は昼夜続けてガラ・コンサートとアンサンブルの夕べを楽しんだ。筆者のように超高齢になっても老若男女の皆さんと一緒になって音楽を楽しめるのは実に有難い。 ホールの一番後ろでカメラ番をしながら文字通り音(の響き)を楽しんだ。ステージから客席を上ってくる音、音、音。弦あり管あり鍵盤あり。それらが渋く甘く揃い微妙に縺れ合う様はカンディンスキー描く抽象画を見る思いがした。例外は長崎県出身の中村卓士君のピアノソロ、日本の高校からウイーンやパリの音楽院に留学、昨年イタリアのプッチーニフェスティバルに出演した逸材、聞かすショパンやリストの演奏だった。

2023.07.02 ペーター・ヴェヒターヴァイオリンリサイタル

7月2日、14:00からペーター・ヴェヒターヴァイオリンリサイタルがsalon classicでありました。今日のレビューは観客のお一人から戴いたものです。当日は朝から素晴らしいお天気で、ホールに入り切らないほどの超満員のお客様でした。 元ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団第二ヴァイオリン首席奏者のペーター・ヴェヒター氏と大阪音楽大学教授でピアニスト土井緑氏による素晴らしい演奏でJ.S.バッハ、パルティータから始まり、ベートーヴェン、ヴァイオリン・ソナタ第5番「春」、シューマン、ヴァイオリン・ソナタ第Ⅰ番作品105など圧巻の演奏で、あっという間に時間が過ぎ、名残惜しい気持ちになりました。が、鳴りやまないアンコールに応え3曲も演奏してくださり、アンコール曲をペーター氏が述べる度、周囲から歓喜の声が飛び交い、私も含め、来られた方々皆様、本当に素敵な演奏の余韻に浸っておられました。

2023.04.22 のレビュー

Salon Classic では今日(2023年4月22日)、春のジョイントリサイタルが開かれた。皆さんの演奏については割愛させていただき、イヴ・アンリ教授の演奏だけに触れる。 イヴ・アンリの演奏が発散する華麗な音の谺はいつも私を魅了する。だから彼の来日が待ち遠しい。彼の創り出す音は一つ一つ跳ねて踊って歌を歌う。今日のワルツは淡麗な感じ。コロコロコロと転がる音玉。安定した丸みを帯びた軌道を描いて進んで行く。静謐の中から生まれたリズミカルな快音。行間に滲む一本の安定した線。そのすべてに気持ちが込められある種の香を放ち静かに聴衆を魅了する。次には変わって軽快な光輝く音が紡ぎ出されてサロン中に充満する。音と音が綺麗に連携して歓喜の声を上げた。 The brilliant echoes of sound emanating from Henri’s playing always fascinate me. That is why I cannot wait for his visit to Japan. Each sound he creates bounces, dances, and sings. Today’s waltz is very elegant. A ball of sound that rolls and rolls. It moves forward in a steady, rounded...

2023.04.23 のレビュー、昨日に引き続き今日

昨日に引き続き今日(2023.04.23)もサロンで春のジョイントコンサートが開かれた。今日もイヴ・アンリだけの感想にとどめたい。 今日のイヴ・アンリが奏でるリストの送葬(詩的で宗教的な調べより)は重厚な出だし、五月雨のような音がして静々と進む音霊、音玉。無言の音に宿る静謐さと迫力ある強烈な音で綴られた送葬メッセージ。聴く者の胸に響く。次第に無となって盛り上がって終わった。 対照的に次はショパンのポロネーズ「英雄」第6番op.53. グランドピアノの全身から力強く発せられる強烈な轟音。 私のピアノ鑑賞法は打ち寄せる波を自分がどの距離から眺めるかで決まる。多くの場合、大波でも近くで見るだけだが、イヴ・アンリの時は眺めるどころか、いつも完全にその波を頭から被ってしまい息もできない。彼のピアノは異次元の粋を感じさせる。ピアノを自分の表現道具にしてセンチメンタル、ノスタルジック、ロマンチック等々あらゆる形容詞をメロディアウスでボリューミーな音で表現してみせてくれる。 Following yesterday, a joint spring concert was held at the salon today. Today, I would like to limit myself to Yves Henri’s impressions. Today, Yves Henri’s Liszt funeral (rather than a poetic and religious examination) is a profound beginning, a sound spirit that sounds like May rain and moves forward...

日付 氏名 時間 曲目 2023/4/20(木) 冨樫 三起子 14:00~15:00 グリーグ:組曲「ホルベアの時代から」Op.40 (オリジナル・ピアノ版) 松田 美玲 15:00~16:00 ショパン:即興曲第3番Op.51 ラフマニノフ:プレリュードOp.32-12 谷 真子 16:00~17:00 グリーグ:「ホルベアの時代から」Op.40 モーツァルト:幻想曲ニ短調K397 北岸 恵子 17:00~18:00 ラヴェル:水の戯れ ショパン:プレリュードOp.28-1~8 2023/4/22(土) 引地 奏葉 10:00~11:00 ショパン:エチュードOp10-2 ショパン:第3番変イ長調Op.47 山西 真理 11:00~12:00 ラヴェル:「鏡」より“道化師の朝の歌” リスト:パガニーニ大練習曲第3番嬰ト短調S.141-3「ラ・カンパネラ」 浜本 麻実嘉 13:00~14:00 ショパン:バラード第1番ト短調Op.23 樽家 千晴 14:00~15:00 ベートーヴェン:ピアノソナタ第11番Op22 第3、第4楽章 松本 晶子 15:00~16:00 リスト:巡礼の年第3年エステ荘の噴水 足立 智子 16:00~17:00 ショパン:エチュード Op.10-1, Op25-12...

春分の日コンサート

2023年3月21日、春分の日、Salon ClassicではArt x Musicと称した「絵と音楽のマリアージュ=美の境地」のユニークな展覧会兼音楽会が開かれました。私が描いた油絵をホールの壁に飾り、その一つ一つを私が解説すると、それに因んだ曲をヴァイオリニストの黒田小百合さんとピアニストの霜浦陽子さんがデュオで演奏してくださいました。 私の挨拶は次のように始まりました。 「今日は春分の日でございます。今年一番の強運日で、天が赦す日、天赦日とか一粒が万倍になる、一粒万倍日といって何ごとを始めるにももっともいい日だそうでございます。そんな日に皆様を面前で私の人生ソナタの第4楽章を奏で始められることは真に光栄なことでございます。私は明日22日で87歳の誕生日を迎えます。振り返りますと、第1楽章は学生時代、第2楽章は社会人(組織人)時代、第3楽章は趣味人(自由人)時代でございました。今日から始まりますフィナーレはそれらを超越した歓喜と余韻に満ち溢れた第九を奏でたいと念願しております….。」 参考にドビュッシーの「月の光」の場合を挙げておきましょう。 ドビュッシー: 月の光  ショパンの流れを汲むドビュッシーですが、印象派というより象徴派と言われることが多いようです。ドビュッシーは伝統的な様式を越えた、自由な音の響きを重視し、感覚的な印象を表現する革新性で知られています。この図は上から「月の光」「喜びの島」「水の反映」「アラベスク」などをあしらいました。月光で銀色に輝く波間にシレーヌの神秘な歌声が聞こえ、笑い、過ぎていきます。ドビュッシーを魅了した大海原とそのリズム、うねり、表情、千変万化する色調を描こうと思いました。

芦屋シンフォニック・アンサンブル(ASE)の創立演奏会

8/11は祝日、山の日でした。うだるような暑さもこの芦屋川の小滝と背景の山を見ていると癒された感じになりました。 その横には芦屋が誇るルナホールがあります。昨日は一日中そこでThe Music Center Japan創立35周年、湘南から芦屋に本拠を移してからの10周年記念を行いました。 昼間はこの節目の年に新しく立ち上げた芦屋シンフォニック・アンサンブル(ASE)の創立演奏会を、夜間はショパンを巡ってのGrand Concert を行いました。いずれも思い出深い華麗な素晴らしい演奏会で多くの愛好者を魅了しました。 静止画像だけですが、昼と夜に分け演奏会模様をお目に掛けたいと思います。

Grand Concert フレデリック・ショパンを巡って

Grand Concertと名付けたのにはわけがあります。ショパンが1832年2月26日、22歳の時にプレイエルホールで演奏したパリでのデビュー・コンサート名がこれだったのです。 8/11、ピアノ演奏をしたイグナツ・リシェツキ(ポーランド)の演奏が私の耳には澄み切っているように感じられ大変気に入りました。 他の日本人ピアニストとは音色が違う、そのように私には映りました。同じピアノ(スタインウエイ)でありながら違うと思ったのは、彼の母国語が子音中心であるのに対し日本語は母音中心で、その語感覚でピアニストはピアノを弾くからではないかと思いました。 私は毎日現地からの英米語放送を聞いていますが、その音感(触)は日本語感(触)と違う、それと同じような差を感じたからです。 \ 演奏会後に空を見上げたところ、今年最後の最大の満月でした。

パリ国立高等音楽院教授、イヴ・アンリ氏とともに

夜空に蒼く輝く月、その光に照らされた白い雲片。その下に広がる喜びの島、月の光が島の稜線を照らしている。海はどこまでも暗く黒く底に向かって神秘の光を放っている。海上に生起する寄せては返す虹の波。アラベスク風の高台で水を吐く噴水。独り高く上がっては崩れ落ち水盤を満たす。水の反映だ。これはドビュッシー没後百年を記念して私が描いた詩的散文の絵である。 今日のイヴ・アンリのピアノを聴きながら絵に共通しそうな楽想に想いを馳せていた。ショパンがピアノの詩人と呼ばれ、画家のドラクロワと色彩感について大いに論じ合ったように、ショパンの後継者のドビュッシーもまたいかに音で色彩を表わすかで苦しんだようだ。イヴ・アンリの演奏を聴いていて、曲の楽想がそもそも脳裏になければ、それを表わす色彩感も何もあったものではない。音楽を志す人は音楽以外にもっと詩や文学、絵画にも関心を示してほしいと思った。天に向かい、水底に向かって放つ神秘の色は最弱の、無音の長い音ではないだろうか。 2012年7月ブリジストン美術館で開催された「ドビュッシー、音楽と美術-印象派と象徴派のあいだで」の解説書を読むと、次のようにある。ドビュッシーが、神秘への嗜好、彼岸への逃避の絶えざる憧憬を持ち、内省と不安の象徴的風景である深淵のほうを向いていた。音楽の定義でも、ドビュッシーは迷わず暗闇のイメージを選んだ。  「音楽は語りえないもののために作られる。私が望むのは音楽があたかも影から外に現れ出たかのように感じられること、そして折々影の中に帰っていくこと…」で、あまり明るいものは好まなかったようだ。それでこのような闇の絵を描くことにした。